１０年５月２４日（月）　国会バラエティショー

「やわらちゃん」こと谷亮子を民主党が参議院選比例区候補者にかつぎだした。これは別に民主党に限ったことではない。どの政党も元プロ野球選手を初めとしたスポーツマン、プロレスラー、女プロレスラー、落語家、俳優、女優、タレントなど諸々の有名人を候補者に抜擢するのが増えている。

その理由は一つ。言わずと知れた票稼ぎである。これらの有名人を比例区の候補者に据えると政党の得票数が目に見えて増えるのである。

しかし、これは困った現象だと思う。小沢幹事長は「さまざまな分野の人が国会に打って出るのは望ましいことだ」といったような内容の談話を述べたらしいが、ちょっと待ちなさいと申し上げたい。

確かに誰でも立候補できるわけでスポーツマンであろうと芸能人であろうと政治の世界に打って出て悪いはずはない。しかし、国会議員とは国の将来の命運を左右する重要な政策を審議して政治を進めていく極めて重い職業である。この職業に就くからには高い見識と専門的な知識、揺るぎない確固たる信念を持った人物でなくてはいけない。これまで候補者に担ぎだされた有名人が漏れなくそういう人物だったと言えるだろうか。

このまま有名人の票稼ぎ頼みが進めばお笑い芸人を候補者に仕立て上げる政党が現れるかもしれない。そうなると国会はバラエティショーに化することになりかねない。願わくはそうならないことを祈るばかりだ。

国会議員に比べれば官僚のほうが見識や知識の点では上を行く人間が多いのではないかと言う気がする。中央官庁に勤めるには上級職国家公務員試験に通らなくてはいけないわけで合格は容易でないはずである。いわゆるエリートは点取り虫が多いと批判する人もいるが、学識の土台がなければ上質の仕事はこなせないのではなかろうか。

民主党が政治主導と称して官僚の力を削ぐ方向に進めているような気がするが、肝心の政治家たちの質が低下すれば、上質とは言えない政治家集団に国の命運を任せることになるわけで日本の将来が危うくなりかねない。

しかしこのような困った現象を招いている張本人は国民自身だということを忘れてはならない。選挙を一種の人気投票と考える国民が少なからずいるからこういう現象が出現するのである。

国会議員を選ぶ時、一国の命運を任せるに足る見識と知識を持った人物であるかどうかという一点を選択基準にする人間が増える時日本の将来に明るい陽差しが射してくると言えるのではなかろうか。

戻る